大阪地方裁判所 昭和53年(わ)401号 判決 1978年5月30日
本籍
大阪市南区瓦屋町一番丁六番地
住居
右同所
人形玩具卸小売業
増村正晴
大正二年一〇月一八日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官上野富司出席のうえ審理を遂け、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一〇月および罰金二、〇〇〇万円に処する。
この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、大阪市南区瓦屋町一番丁六番地において増村人形店の屋号で人形玩具の卸小売業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、
第一 昭和四九年分の所得金額が八八、七四一、九二三円で、これに対する所得税額が五二、一二八、七〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上及び棚卸の一部をそれぞれ申告から除外するなどし、これによって得た資金を架空名義及び親族名義の定期預金にするなどの行為により、右所得金額のうち六一、三六九、二三五円を秘匿したうえ、昭和五〇年三月一三日、大阪市南区田島町二五番地の一一所在南税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が二七、三七二、六八八円で、これに対する所得税額が一一、一三八、八〇〇円(この税額には計算上の誤りがある。計算上は一一、二六二、四〇〇円となる)である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の所得税四〇、八六六、三〇〇円を免れ、
第二 昭和五〇年分の所得金額が七九、七五五、三九一円でこれに対する所得税額が四四、八二八、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額のうち五四、五三六、一一七円を必匿したうえ、昭和五一年三月一一日、前記南税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が二五、二一九、二七四円で、これに対する所得税額が九、四一一、〇〇〇円(この税額には計算上の誤りがある。計算上は九、五五四、〇〇〇円となる)である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の所得税三五、二七四、七〇〇円を免れ、
第三 昭和五一年分の所得金額が四六、七六二、八七四円でこれに対する所得税額が二二、五三〇、五〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額のうち二五、二六六、六三七円を秘匿したうえ、昭和五二年三月一一日、前記南税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が二一、四九六、二三七円で、これに対する所得税額が七、四七一、四〇〇円(この税額には計算上の誤りがある。計算上は七、六一四、四〇〇円となる)である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の所得税一四、九一六、一〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一 被告人の当公判廷における供述のほか、公判調書中の検察官請求証拠等関係カードに記載の番号1ないし142と同一であるから、これをここに引用する。(検察官請求証拠等関係カードは記載省略)
(法令の適用)
一 判示各所為
各所得税法二三八条一項、二項(いずれも懲役と罰金を併科)
一 併合罪処理
刑法四五条前段の併合罪、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重)、罰金刑につき同法四八条二項
一 懲役刑の執行猶予
同法二五条一項
一 労役所留置
同法一八条
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 栗原宏武)